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踊る大捜査線ブーム

近所のボーリング場に行ったら景品として「だんご三兄弟グッズあります」というポスターが貼ってあった。今更だんご三兄弟で喜ぶ人もいないよねと苦笑した。
が、よく考えてもみればこのだんご三兄弟。流行りだしてから数ヶ月と経っていないではないか。

日本人というのはムーブメントが起こり始めると乗るのは早いが、それが落ち着いく頃にまだそれにハマっているとバカにされる傾向が強い。
アメリカ人ならいつまでもスターウォーズが好きだしスタートレックが好きだしバットマンが好きだ。多分好きな人は今でもバットマンTシャツを着ているだろうが、日本でそれをやったら白い目で見られる。
だんご三兄弟も下手に大流行なんてしちゃったもんだから、すたれるのも早かったのだ。
もっとも私にゃあの唄の何が楽しいのか何が良いのかサッパリ分からないままブームが去ってしまったのだが。

街のだんご屋さんで4個入りより3個入りの方が売れる、というバカな現象が起こってしまって、だんご作り機を交換したところまであったようだ。
だんごブームでそうとう儲かったと思われるが機械の代金を考えると案外トントンかもしれない。
自慢げに「3個刺しの機械を作りました」なんてテレビで言ってたオヤジ。まだ生きてる?返品すごいでしょ。
閑話休題。

根強いファンがいるというのは、そのものが長生きできる重要な要素である。そして大ブームになってはいけない。
刑事ドラマでいえば、太陽にほえろ・西部警察・あぶない刑事あたりがそれを満たしているのではないかと思う。
知名度が高く今でも根強いファンがいるにも関わらず大ブームというほど流行することもなかった。だから息が長い。何度も再放送されたりしている。
我らが踊る大捜査線は、ただのブームなのだろうか。

結論を先に述べてしまうと、分からない。
何故かというと、これを書いている私からして既に一般人ではないからである。
踊るマニア、もしくは踊るヲタクと称されてもそれを誉め言葉しか受けとめられないほどのご執心ぶりなので、一般人と同じレベルで踊る大捜査線を捉えることは不可能なのだ。
それを百も承知の上で、一般人の気持ちになったつもりで、考察をすすめてみる。

根強いファンというのは、たくさんいる。このサイトが映画終了後(一般に完結したと言われて後)、一日に500〜1000ヒットしているのを見れば明らかである。
例えば大ブームになっても、ファンが飽きずに残っていればすたれることはないだろう。
かつて一世を風靡した(といわれている)エヴァンゲリオンも根強いファンはいるのだろうが、飽きた人の方が多かった。私もそうだった。
補完計画、なんて言葉は死語に近いのではないかと思う。
今更「エヴァ2」を作ってもポシャるのは分かっている。もっともあの続編といったらシンジとアスカのセックスライフしか描けないであろうが。
これ以上エヴァに言及すると文句がきそうなのでやめておく。
私はこのエヴァンゲリオンの時の流れと踊る大捜査線の流れが似通っているということに、危惧を抱くのだ。

テレビがヒットした。
番組で使われたBGMを他局の番組でも聴くようになった。
映画が公開され、初日に徹夜組まで出た。
コスチュームを真似する人間が沢山いた。
番組の舞台になったところが聖地になり、参拝者が後を絶たなかった。
これは、エヴァの話なのか、踊る大捜査線の話なのか。

エヴァはその後ディレクターズカット版と称して、映画を再演した。不評だった。
踊る大捜査線にもディレクターズカット版が存在する。これを劇場でやったら、多分そこでエヴァと完全にシンクロして、終わるだろう。

はたして踊る大捜査線もやはり飽きて去られてしまうのか。

ここで重要だと思われるのは、大してハマらなかった人達、という層である。
エヴァも確かにヒットしたが、その客層はいわゆるアニメ好きな若い層だけである。アニメ好きでない人例えば一般の女の子なんかはエヴァ=オタクというくらいの偏見を持っていた。私は直接言われたのでその声を知っている。
踊る大捜査線の場合は低年齢から比較的高い年齢層まで幅広くカバーしている。そして「前もちょっと面白かったから今回も見てみよう」という、好きではないけど嫌いではないかつ比較的好意的、という層がいるのだ。
この層の存在がエヴァとの違いである。エヴァは「好き」な人以外は「嫌い」な人かもしくは「知らない」人なのだ。
この層の人間は、例えば続編があったとして、時間が許すならばそれを見る。絶対見る。テレビ局が本当に欲しいのは、こういう層なのかもしれない。
その層が厚ければ厚いほど、息が長いということにはならないだろうか。
そして踊る大捜査線のその層は、厚い。

つまり、飽きて去られる人よりも、飽きない人の方が多いということだ。
その層の人々はもともとハマっているわけでないのだから、飽きるなんてこともないのだ。

余談。
このコラムを書いている途中で彼女にも見せてみた。
小さな広告代理店に勤めるキャピキャピOLの彼女に、この層は「Don't Knowゾーン」と言われるCM業界でも特に注目される層であることを教わった。
ということなので、私のヨミ通りやっぱり重要な層らしい。
適当に書いてるように見えるこのコラムでも、たまに核心を突くことがあるのだなと自分でも驚いてしまった。
余談終わり。

青島コートが流行った。
東京なんかだと各電車に二、三人は青島コートを着ている人がいた。私もその一人だった。
そして、今年の冬も、また着るだろう。
言葉にしづらくてニュアンスが伝わるか分からないのだが、流行にはなったが大流行になるほど尖ってないのだ。
だから今年の冬に着ても、多分「今更そんなの着てるの?」なんて風には捉えられないのではないかとおもう。
踊る大捜査線が好きなのね、とは思われるかも知れないが。

まだ「飽きちゃった」という声は殆ど聞いたことがないし、多分今でもファンな人はずっとファンであろう。
熱狂的な状態が永劫に続くとは思えないが、飽きるということはないだろう。
私のようにこれが縁で結婚までしちゃいそうな人までいるのだから、簡単に飽きられたりしたら、困る。

映画は700万人が観た。
日本人の20人に一人が、映画館に足を運んだということになる。
私のように20回も観ている人がいるから正確な数字だとは思えないが、それほど遠い数字でもないはずだ。
確かにブームかと言われれば踊る大捜査線ブームなのかもしれない。がしかし、飽きられることがなければ息が長いということになるのだ。
いまさら〜?なんて言わせない。

あとは、これを読んでくれている方々をはじめとする今ファンでいてくれているみんなが、これからもファンでい続けてくれることを願うばかりだ。

ただのブームで終わらせるものか。
Written by かず
1999.7.1
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