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2001/03の湾岸署

[2001年03月30日(金)]

一年間の研修を終え、湾岸署に配属された新警官達の中にかっこいい青年がいたらしく、婦警達が黄色い声を挙げている。
面白く無さそうな男性署員たちだが、青島と和久だけは涼しそうな顔をしている。

[2001年03月29日(木)]

青島がところどころで咲き始めている桜に目を細めている。
いよいよ待望の花見が近づいてきた。

[2001年03月27日(火)]

青島が財布を落としてしまったのだが、すぐ後ろを歩くサラリーマンが拾ってくれた。
嬉しくてニコニコ電車に乗っていたが、次の駅でそのサラリーマンが痴漢の容疑で捕まり、少し悲しくなったのだった。

[2001年03月26日(月)]

青島はお花見用に折り詰めを注文している。
その横ですみれが真下に取り押さえられている。
すみれに口を出させると高くつくかららしい。

[2001年03月24日(土)]

「今年も出来ないんでしょうねぇ・・・お花見」
窓の外を見ながら雪乃が呟いた。
「刑事やってりゃ、花見は無理でしょう」
隣の真下がコーヒー片手に答えた。
「そうですよねぇ」
残念そうに壁によりかかる雪乃。
「アメリカにいたときにはお花見なんて習慣無かったし、ちゃんとしたお花見ってしたことないんですよねぇ」
「ちゃんとした花見?」
「ほら、場所取りしたりぃお酒とか食べ物とか持ってく、あれです」
と手振り付きで説明する雪乃。
「あぁ・・」
と納得する真下。他に花見ってあるのというような顔をする雪乃。
ちょうどそこへ青島が通りかかった。
「なにため息ついてんの」
くわえタバコである。
「ため息なんかついてないですよ」
と真下。
「お花見したいなぁって言ってたんです」
と壁から離れる雪乃。
「そうねぇ・・・」
青島は腕組みをして窓の外を見た。
「そうだっ」
と手を叩いた瞬間、タバコの灰がぽろりと落ちた。
「花見、やろうよ。なにも夜やんなくても昼ご飯でいいじゃない」
とにこやかな青島。
「そんな手を叩くほどのアイデアじゃないじゃないですか」
と呟いた真下の頭を青島が軽く叩く。
「お前みたいにため息ついてるだけなのよりマシだろ」
雪乃は喜んで言った。
「海峰小学校の横の公園が良さそうですよ。美香先生も誘っちゃいましょうか」
「そうだねぇ、寿司の差し入れもあったりして」
と青島。
「駄目ですよ、そんなの期待しちゃ」
と雪乃は笑って青島の肩をつついた。
そのまま二人は花見の計画を練りながら休憩室に消えていった。
一人残された真下は、今度は本当にため息をつくのだった。

[2001年03月23日(金)]

中西係長がすみれに先日の強盗未遂の報告書を出せとうるさく言っているが、すみれは別の事件で青島と出ていってしまった。
ぶつぶつ言っている中西係長の横で、雪乃を見ながらため息をつく真下。
「はぁ、いいなぁ先輩とすみれさんは仲良さそうで・・・」
それを聞いた中西はギロリと真下を睨むと、またぶつぶつ言いながらどこかに消えるのだった。

[2001年03月22日(木)]

真下がまた新調したデジカメを持ってうろちょろしていたら、交通課の婦警たちから睨まれる。
デジカメ買ってニヤニヤ喜んでいる真下の顔がやらしいと、圭子談。

[2001年03月21日(水)]

署長と副署長がゴルフに出かけたが途中車の故障で身動きできなくなったらしい。
お陰で今日は二人ともいないが、署員はいつも通り大忙し。

[2001年03月19日(月)]

すみれが牛丼屋でご飯を食べていたら覆面をした強盗と遭遇。
「金を出せ」と言う前に御用。

[2001年03月17日(土)]

青島は花粉症の武くんと一緒に走り回っている模様。
みんな大忙し。

[2001年03月15日(木)]

「青島さん、たばこ変えたんですか?」
共に現場に向かっている雪乃が尋ねた。
「あ、分かった?」
くわえたばこの青島がフィルターを噛みながら応える。
「実はいつもの切らしちゃってさ、あれってあまり売ってないのよね」
と深くもう一服すると携帯灰皿に押しつけ
「やっぱたばこ違うと美味しくないよね」
と笑った。
「たばこって、美味しいんですか?」
と雪乃。
「うーん」
青島は腕組みをする。
「美味しいかって言われると美味しくはないね。でも落ち着くっていうか・・わかんないや」
と笑った。
「それにしてもよく見てるよねぇ」
と青島。
「そりゃあ・・」
恥ずかしそうに少しうつむく雪乃が続けた。
「でもたばこだけじゃないんですよ」
「ん?」
首を傾げる青島。
「コート、裏地外したでしょ」
と雪乃はニッコリ笑う。
「あ、インナー?あったかくなったからねぇ」
両手でコートの襟を持って見せる青島。
「しっかしよく見てる・・」
と言いかけたが雪乃が
「ここ、現場です」
と指さし、即座に凛とした表情になる青島。
翻った瞬間、コートの裾が風になびいてふわりと宙に舞ったのだった。

[2001年03月14日(水)]

「配給でーす」
と、真下と魚住が段ボールをさげてまわっている。
「なんだありゃ」
と和久。
「女の子のところまわってるんですよ」
と雪乃。
「私も貰いました。ほら」
とリボンのついたキャンディー缶を見せる。
「あ、そうかそうか。俺んとこにも金集めに来たわ。ホワイトデーかぁ」
と和久はカレンダーを見て納得する。
真下と魚住に群がる交通課の婦警たちが黄色い声を上げている。
「お、青島はどうしたい。金集めてたのあいつだったぞ」
「ピザの宅配屋さんが怪我したって傷害事件で出ていきました」
「へぇ・・」
と和久があごをなでていると隣から大きなくしゃみが聞こえてきた。
「おぃ、大丈夫かい」
と声をかけて振り返ったのは武である。
鼻を真っ赤にしてティッシュで押さえている。
「あぁ、はい、大丈夫です」
と鼻声で答える武。
「おめぇさんには辛い時期になってきたなぁ」
と和久。
「去年も大変そうでしたもんね」
と雪乃。
「そうですよ、だからホワイトデーっていっつも憂鬱で憂鬱で」
と鼻声が答えた。
「いろんなホワイトデーがあるもんだなぁ」
和久と雪乃は目を合わせて笑うのだった。

[2001年03月08日(木)]

「ゴホゴホ」
青島がたばこにむせている。
「お、風邪か。天罰だ」
と和久は隣で書類書きを続けている。
「違いますよ、まだこの前のこと根に持ってんすか」
とたばこをもみ消しながら青島。
「あまり細かいこと気にしてると寿命が縮みますよ、また」
「またってなんだ、またって」
と和久は怒るが、青島の方は誰かに呼ばれて行ってしまった。
「ったく・・」
と口をとがらせる和久。
「和久さん、あまり怒ると体に悪いわよ」
と通りかかったすみれが言う。
「なんでぇすみれさんまで人を年寄り扱いすんのか」
と和久。
「そうじゃないわよ。あれでも心配してんのよ」
「まだ心配される歳じゃねーや」
と言いながら立ち上がろうとする和久だったが
「いててて」
と言いながら腰を押さえまた椅子に腰掛けてしまった。
「ほら」
と笑うすみれ。
「違うって、こりゃあ本店の運転手やったときになぁ・・・」
と言いかけた和久だったが、少し心配そうなすみれの目を見て、
「大丈夫だよ、まだまだ現役だ」
と笑い返した。
「指導員やめたいんじゃなかったの?」
とすみれに笑われ、やはり笑顔で返すのだった。
「指導しなきゃいけねぇ刑事が一人残ってっからな」

[2001年03月01日(木)]

「おはようござい・・・あれ?」
青島が和久の不在に気がついた。
「和久さん・・・今日公休だっけ?」
とすみれに尋ねながら鞄を机に置いた。
「いや、風邪でお休み。苦しいみたいよ」
答えるすみれ。
「あ、そうなんだ。珍しいねぇ」
「青島君お休みだったから知らないだろうけど、昨日から具合悪くてね、早退したのよ」
「へぇ、インフルエンザかね?」
「そうかもねぇ」
「和久さんもあの歳じゃいつポックリいくか分かんないんだからさ、大事にしないとね」
と笑いながらたばこに火をつけ深く一服する青島。
「真下君と同じ事言ってる。知らないわよ」
とすみれ。
「先輩・・」
真下が呼ぶ。振り返ると受話器を押さえて苦々しく青島の顔を見ている。
「聞こえてますよ、ほら」
と真下は受話器を青島に向けた。
『こらっ青島、てめぇ明日覚えてろよ、ひっぱたいてやる・・』
どう控えめに聞いても病人ではない和久の怒鳴り声が受話器の向こうから聞こえてきた。
青島は、くわえていたたばこをポトリと落とした。

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